メッセージ
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ハンフリー・カラマギ博士
WHOアフリカ地域事務局 データ分析・知識管理 チームリーダー
- ミリアム・ウェレ博士(ケニア)
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第1回野口英世アフリカ賞
医療活動分野受賞者(2008年)
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ミリアム・ウェレ博士(ケニア)
第1回野口英世アフリカ賞
医療活動分野受賞者(2008年)
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第4回野口英世アフリカ賞の開始
2006年、当時の小泉純一郎総理大臣はコナレ・アフリカ連合委員会委員長に対し野口英世アフリカ賞の設置を伝えました。本賞は、日本の卓越した医学者である野口英世博士を称えて創設されたものです。野口博士は1876年から1928年までのその生涯の中で、顕著な医学研究の業績を収め、梅毒病原体のバクテリア等を特定しました。日本、アジア諸国、そして後に米国、中南米、欧州での研究成果は世界的にも卓越していたため、野口博士は1913年から1927年の間、ノーベル医学賞に3回、候補となるものの、1928年に51歳という若さで亡くなるまで受賞することはありませんでした。その若さで亡くなることがなければ、間違いなくノーベル医学賞を受賞していたでしょう。野口英世博士とアフリカとの特別な関わりは、1928年に今のガーナにあたる地で、黄熱病の解明に立ち向かう途次に、志半ばで自らその犠牲になられたことからも明らかです。
日本の人々に親しまれている野口博士を記念し、日本では多くの記念碑が建てられ、記念切手が発行されるほか、日本通貨の千円札には野口博士の肖像が描かれています。アフリカにとって大変名誉なことは、日本政府が野口博士を称えて創設した医学・医療の賞を「野口英世アフリカ賞」と命名したことです。日本は保健分野における先進国です。本賞は、野口博士の医学の進歩における貢献とアフリカでの献身的な活動を称えるものです。
アフリカは、健康の問題が深刻であり、特に解決が求められている地域であることを踏まえ、本賞はアフリカで感染症等の疾患を対象とした研究および医療活動の分野で顕著な功績を挙げた個人および団体を顕彰し、それをもってアフリカの人々、ひいては人類全体の保健および福祉に貢献することを目的としています。本賞の特徴は、医学研究および医療活動の2つの部門があることです。
本稿を執筆する2021年3月現在、2022年に授与される予定の第4回野口英世アフリカ賞の準備が着々と進められています。本稿は、野口英世アフリカ賞の医療活動分野のホームページに掲載予定です。保健医学分野の多くの賞は医学研究のみを対象としてきました。このため、野口英世アフリカ賞設置の発表があった時、医療の向上に関わってきた医療従事者たちは感銘を受けました。本賞に、医療活動部門が設けられたからです。我々は医学研究の重要性を認識しています。しかし、その研究の成果が医療活動を通して社会に還元されなければ価値はありません。日本がこのことの重要性を認識し、本賞を創設して頂いたことを、我々は胸躍る思いで喜びました。
第4回野口英世アフリカ賞の医療活動分野推薦委員会を構成する専門家の責務は重大です。各委員は、第4回野口英世アフリカ賞が授与されるまでの期間を意識向上のために活用し、アフリカにおける医療拡大および医療の質の向上に対する一般市民の関心および支持を喚起し、アフリカにおける生活の質の改善を訴えて頂くことが重要です。受賞者には、アフリカの医療向上に専心し、優れた業績を示した人物を委員会が選考して頂く必要があります。アフリカは、今回の野口英世アフリカ賞の機会を捉え、効果的な医療がアフリカのすべての人々、すべての世帯、すべてのコミュニティーに提供されるための取り組みに人々の関心および支持を得てゆく必要があります。このことは、新型コロナウィルス感染症禍において極めて明確になりました。健康は、最たる基本的な人間の権利です。マーラー元WHO事務局長がよく言っていたように、健康がすべてとまでは言わないものの、人は健康が得られなければ何もできないのです。第4回野口英世アフリカ賞における医療活動分野の受賞を祝うことを我々は楽しみにしています。
(参考) 2008年5月、ケニアのミリアム・ウェレ博士が野口英世アフリカ賞の医療活動分野で初の受賞者となりました。授賞式は第4回アフリカ開発会議(TICAD Ⅳ)に合わせて横浜市で開催されました。受賞当時、ウェレ博士は、ケニア国家エイズ対策委員会(NACC)委員長、アフリカ医療研究財団(AMREF)会長を務め、ナイロビ大学医学部で地域社会保健も教えていました。ウェレ博士の功績の中核を成すのが、地域社会の参加を得ながら医療を社会に広げることにありました。
ウガンダのアレックス・G・コウティーノ博士は野口英世アフリカ賞の医療活動分野での2回目の受賞者でした。授賞式は2013年6月に同じく横浜市で開催されました。コウティーノ博士の功績は、HIV感染者の命を救う医薬へのアクセスを拡大する方法の開拓への取り組みでした。受賞当時、コウティーノ博士はウガンダのカンパラにあるマケレレ大学感染症研究所所長を務めていました。
ウガンダのフランシス・ジャーバス・オマスワ博士が野口英世アフリカ賞の医療活動分野での3回目の受賞者でした。オマスワ博士は、グローバルヘルスと社会変革のためのアフリカセンター(ACHEST)所長を務められています。授賞式は第7回アフリカ開発会議(TICAD 7)に合わせて同じく横浜市で開催されました。
そして現在、我々は第4回野口英世アフリカ賞の医療活動分野での次の受賞者を楽しみに待っています。
- アレックス・G・コウティーノ博士(ウガンダ)
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第2回野口英世アフリカ賞
医療活動分野受賞者(2013年)
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アレックス・G・コウティーノ博士(ウガンダ)
第2回野口英世アフリカ賞
医療活動分野受賞者(2013年)
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第2回野口賞受賞者のひとりとして、ユニバーサル・ヘルスカバレッジ(UHC)の実現において、医学研究と医療活動の間に重要な関係性があることをご理解頂いた日本政府に対して心より感謝申し上げます。
私は野口英世アフリカ賞を受賞して以来、アフリカにおけるいくつかの感染症対策の取り組みを強化するとともに、次の世代の医療関係者の育成に力を注いています。現下の新型コロナウィルスは大きな影響を与えています。
我々の力を結集して、最終的に同ウィルスを統御し、そうすることで次なる感染症に備えねばなりません。
野口英世アフリカ賞は、アフリカにおける保健の向上と健康で豊かな暮らしの実現のため、世界の関心を喚起するための重要な国際賞であると考えます。
- フランシス・ジャーバス・オマスワ博士(ウガンダ)
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第3回野口英世アフリカ賞
医療活動分野受賞者(2019年)
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フランシス・ジャーバス・オマスワ博士(ウガンダ)
第3回野口英世アフリカ賞
医療活動分野受賞者(2019年)
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第4回野口英世アフリカ賞の推薦受付が開始されたことを知り、大変嬉しく思いました。
第3回野口英世アフリカ賞の医療活動部門の受賞者として、今回も多数の優れた候補者の推薦がなされるよう、私からもお願いを申し上げます。アフリカには、自らの貢献の大きさや意義を必ずしも自覚しないまま多大な社会貢献をしている医療関係者が多数います。
医療関係機関等においては、そうした素晴らしい活躍をされる方を見出し、可能な限り多数の推薦がなさることを期待しております。
野口英世アフリカ賞(医療活動分野)受賞者の詳細については、以下のリンクをご参照下さい。